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2019.02.15

訪問診療ブログ『高齢者住宅の孤独』(過去編)

金谷 潤子

2018.10.27

高齢者住宅に往診する事も多くありますが、楽しそうに生活されている方は残念ながら少数派かもしれません。
こぎれいな小さな空間にベッドとテレビ。
たいていテレビはついたままベッドに寝ています。
ベッドとテレビ以外の隙間は殆ど無いような狭いお部屋も。
「先生が帰って誰も居なくなったらズドーンと暗闇の底に落ちて行く気分だよ。」
「あの空に飛んで行きたいなぁと、いつもここから見ていて思うよ。」
目の奥が熱くなりました。
高齢者はここで、提供されるサービスに感謝しながら生活を楽しんでいるわけではありません。
管理されて我慢して生きながらえています。
楽しみはたまのご家族の来訪。
これでは誰でも忘れん坊さんになってしまいます。
私たちよりも、若者よりも、秘めている知識や技術、才能はたくさんあるでしょう。
車を運転して事故を起こしたり、徘徊したり、高齢者から何もかも取り上げて管理しなければ…と焦る行政。
しかし、実際のところは高齢者ではない方の飲酒運転事故の方が多いのでは?
かなりの忘れん坊さんのお一人暮らしも多く見ていますが、火の元不始末の話を聞きません。
だからといって野放しにと言っているのではありませんが、今多く見られる「管理」のやり口は、高齢者のできることを奪い、できない人間にしてしまう原因でしかないと感じるのです。

歳をとるのが楽しみになるような世界にするには?
皆が考えていかなくてはなりません。

2019.02.14

ヨーロッパアンチエイジング学会に参加しました

ECAAMというヨーロッパのアンチエイジングのミーティングに参加してきました。今回は初めての参加でしたが、参加人数も40人程度のこじんまりした会で、主催はDr. Claude Dalle(https://www.drclaudedalle.co)という方でした。A4M的なものを期待していたのでちょっとがっかりでしたが、その分集中して勉強できました。
日本は、アンチエイジングについての偏見がまだあり、病院で受ける保険医療こそが正しい医療でそれ以外はインチキという人もいますが、予防医学に関する研究は世界でも熱心に行われています。その、予防医学の社会的な利用法がアンチエイジングに導入されています。各国が予防医学に熱心に取り組む理由は巨額な医療福祉にかかる社会保障費が国の財政を圧迫しているからです。国民にできるだけ社会福祉の依存度を減らしてもらい、働いてほしい。そのような国の必要性と、健康に過ごしたい国民の希望が合致しているので熱心に取り組むようになっています。
最近のトレンドは、免疫による発癌予防と、ホルモン補充療法のようです。サプリメントも積極的に使用しています。特にビタミンDは常に推奨されます。ヨーロッパは、北海道と同様に緯度が高いので日照時間が短いのがその理由です。
ホルモン補充療法は、アメリカでより盛んですが、中高年以降の体調不良の原因のほとんどがホルモン変化によるもののようだからです。日本では、ホルモン剤というとまだ偏見があるようですが、対症療法が中心の薬剤に比べると天然ホルモンは生体の自然な仕組みを利用するので体に対する負担が少ないのが利点です。特に注目のホルモンは、メラトニン、性ホルモンと、甲状腺ホルモンです。

2019.02.14

訪問診療ブログ『変わってしまったオヤジ、の爪』

金谷 潤子

1月23日

私は1年と少し前からのご縁です。
慢性の肺疾患があり、典型的バチ状爪を呈していました。
認知症の薬と去痰薬数種類に抗菌薬を長年服用されていました。
とても頑固で変化をなかなか受け入れない方なので、朝昼夕の薬の個数を変えず、剤型もあまり違和感が無いように工夫に工夫を凝らして毎回少しずつ変えて来ました。
体重減少があり悪性疾患も疑い、昨年夏には看取りも考えましたが、この方の生きる力を諦めたくなくて僅かな抗うつ薬などを使ったところ、食べる楽しみを取り戻し半年で8kgほど太ることができました。
ふと気がつくと分厚く変色したバチ状爪の代わりに健康な爪が根元から伸びて来ています。
忘れん坊さんのご本人も、きれいな爪が嬉しいのか、そんなことは言ったことないのに「爪を切って欲しい」と訪看さんにお願い。
「高齢者であっても身体はちゃんと変化する」というのが持論ですが、この爪には私もちょっとビックリしました
肺炎を繰り返していた方でしたが、幸いまだお熱は一度もありません。
遠方の息子さんたちのご理解も得られましたので、我が家を長く満喫していただきたいと思っています。

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