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2021.09.29

訪問診療ブログ『コーヒーをどうぞ』

『コーヒーをどうぞ』
大切なお母さまに悪性疾患が見つかりました
進行は早く
入院のまま数ヶ月が経ち
会えない日が続きました
このままでは…
ご家族さまは少しでもお会いする時間を
工面するために
高齢者住宅への退院を決意されました
穏やかな時間
ご家族との楽しい面会
スタッフさんたちとの温かい交流
あっという間にそれも過ぎ
お母さまにお別れが近づきました
明け方に血圧が下がり
喘ぐ様な下顎呼吸となりました
娘さまは朝早くから駆けつけて
側で手を握っておられました
施設看護師の男性は
何かできないだろうか、と考え
お母さまのお好きな
食べ物や飲み物はございますか?
そういえばコーヒー好きでした!
亡くなった父と二人でよく飲んでました!
是非それを叶えましょう
直ぐに用意された良い香りのコーヒー
でも、どうやって?
お母さまは意識も無く
血圧も測れず
下顎呼吸の状態です
とても何かを飲めるとは思えません
そうだ!
看護師さんが持ってきたのは
口腔ケアのスポンジ
一緒にやりましょう!
看護師さんがお母さまの酸素マスクを
少し口から離して持ち
娘さまがコーヒーを浸したスポンジで
香りを鼻に
唇にも少し
そしてお口にそっと含ませると
弱い下顎呼吸が止み
大きくお口を開けて
その香りを
芳ばしいコーヒーを
しっかりと味わうかの様に
深く長い呼吸が現れました
娘さまは思わず看護師さんと目を合わせて
お母さん、分かるのね!
美味しいのね!
もっと欲しいのね!
スポンジで楽しんだ
尊いコーヒーの時間
お母さまは満足されたご様子で
穏やかなお顔で
静かに旅立たれました
今頃はお父さまと再会されて
お久しぶりにお2人でコーヒーを
召し上がっていることでしょう
スポンジで含ませたコーヒーの話をお聞きして
感心して男性施設看護師さんの偉業を労うと
そんなことないんです!
もっと前に気がつけば良かったのに!
と、彼の目にあふれる涙
いえいえ、今日の旅立ちの
大切な門出に
美味しい
極上のコーヒーを
提案してくれて、
きっと
心から喜んでいらっしゃいますよ
コーヒーの香りは脳にα波を増やし
深いリラックス効果をもたらすそうです
最高の看護師さん魂、
最高の緩和ケアでした
合掌
2021.07.26

訪問診療ブログ『最期まで生きる、そして愛』

『最期まで生きる、そして愛』
とても心配性の奥様が最期まで頑張れたのは、
訪問看護さんや訪問リハビリさんたちの丁寧な医療サポート、
ヘルパーさんの温かな生活サポート、
キャンナス眞鍋さんの、「最期まで生きること」へのサポートがあったからこそでした。
目を閉じて長いこと休まれたままだったご主人様がちゃんとお別れの時には目を開けてご挨拶をされたことは胸が詰まります。
キャンナス眞鍋さんのご投稿を引用させていただきます。
———————————————-
いのちを看る
小さな小さな呼吸で夜を超え、
最期まで穏やかな表情で 
早朝に旅立ちを決めた方とお付き合いしました。
酸素マスクの力を借りて、
全身で呼吸をする日を3週間ほど過ごされながら
この日を迎えました。
血圧は下がりながらも、
脈拍は弱く弱く触れました。
白々と夜が明ける中で、
乾燥した口を整えて、
あたたかいタオルでしっかりと洗顔と手を拭くと、頬が緩みました。
マスクを外した、
あまりの穏やかなご主人の表情を見て、
奥さんが言いました。 
「こんなにピカピカに、きれいにしてくれてありがとう。主人はもう充分頑張ったのですね。」
と確認され、うなづく私。
ご主人の額や頬を触り
「こんなにも最期まで頑張ってくれて、ありがとう。もうゆっくり、神様のところへ行ってもいいわよ。今まで本当にありがとう」
両手で頬をしっかりと支え、
唇に触れ何度も何度もお礼を伝えました。
ご主人はうっすらと目を開けて
見つめたあと数秒後再び閉眼され
静かな静かな呼吸で
お別れされました。
小康状態の中で 
いつか迎えるこの時間の不安と悲しみ、
そして緊張に潰されそうな心を聴きながら過ごしましたが、
その時間は感謝に溢れておだやかにやってきました。
主治医の先生が到着して
「最後の診察になります、ご主人はよく頑張りました。これは病気で亡くなったのではなく、大往生ですね」と。
そこに立ち会った皆が温かな時間を過ごしました
「家でよかったです・・ありがとう! 
やってあげたかったことができました!」
涙の無いさわやかな笑顔が心に沁みました
2021.07.02

『統合医療で癌に克つ』に掲載されました

医師である私が癌になったら

「自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、
害と知る治療法を決して選択しない」

030-032

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