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2024.12.19

女性の寿命を延ばす

先日、A4M (The American Academy of Anti-Aging Medicine)という学会に参加してきました。
これは、1992年に設立された学会で、今年で32年目になるアンチエイジングの集大成の学会です。通常は学会は専門分野ごとに分かれるのですが、医学のジャンルの垣根なく人間の老化をテーマに基礎医学から臨床まで、幅広いテーマが取り上げられます。私も、すでに5回目の参加になります。途中、コロナの影響で3回ほど欠席しましたが、約10年ほど参加してきました。
 この分野の研究はアメリカが一番進んでおり、約10年遅れて日本に到着する感覚です。その中で、ここ最近変わってきたのは、アンチエイジングからリバースエイジングに関心が移ってきたことです。リバースエイジングとは、まさに若返りを意味しています。具体的には、治療によって年齢を巻き戻すことが可能になるかもしれないということです。そんな学会ですが、今回特に、記憶に残ったのは女性の寿命を延ばすという発表でした。
 人間の寿命は年々伸びてきましたが、最近問題になっているのは健康寿命がそれほど伸びないことです。特に女性の場合には、男性より随分と長生きしますが、寿命を迎える前には10年ほどの重い病気の期間があることが問題になってきています。医学の進歩は、心臓をより長く動かせるようにはなってきましたが、人工的に長生きしても、実際には極めて満足度の低い状態を過ごしているという実情があります。特に問題になるのは、ヒトの体の老化の仕方は一律ではないということです。臓器によって老化のスピードが違うので、長期にわたって何の手当てもせずに無事な部分もあれば、早くから不調を来しやすい臓器もあります。
 女性の場合、特別早く老化しやすい臓器として、卵巣があります。多くの場合、女性は50歳までに閉経を迎えます。卵巣は、女性ホルモン産生という重要な働きがあるのですが、閉経によってその働きを止めてしまいます。これが更年期障害の原因ですが、その後、さらに4,50年の寿命があります。このことは、女性の健康に大きな影響を及ぼします。閉経の遅い女性ほど寿命が長いことが知られていること、動物実験では、老化したマウスに若いマウスの卵巣を移植すると寿命が伸びたことから、女性ホルモンには寿命を延ばす効果がありそうです。
 卵巣の細胞数は生まれながらに決まっていて、胎児の時代が最大で、その後どんどん減っていきます。成人女性であれば30万個くらいですが、毎月1000個ずつ減少します。そのため、閉経の時期にはほとんどなくなってしまいます。
 したがって、女性の寿命を延ばすためには、①女性ホルモンを補充するか、②卵巣の寿命を延ばすという方法が有効です。①のために現在行われているのは、天然型女性ホルモン補充療法です。合成ホルモンは発癌のリスクがあるので推奨しません。さらに、未来には卵巣組織だけをカプセルに入れて体内に埋め込む方法も考えられています。②の目的では、本人の卵巣を凍結保存する方法や、抗ミュラー管ホルモンを上げる方法が期待されています。特に、最後の方法はもし実現すれば女性の妊娠可能年齢を延長させることが可能になるかもしれません。
 いずれにしても、女性ホルモンを途絶させないことが、女性の寿命を延ばす、特に健康寿命の延長に役立ちそうです。

 

2024.09.20

弔ってきました

安倍晋三さんが暗殺された現場を訪れ、弔ってきました。
今から、ほんの2年前、2022年7月8日、安倍晋三元総理が奈良県奈良市の近畿日本鉄道大和西大寺駅前付近で暗殺されました。犯人の動機、手口など不明な点はまだありますが、事実として、この時をきっかけに日本を含め世の中の環境は大きく変わっていくような気がします。一番大きな変化は、現在、自民党総裁選が行われており、前代未聞の9人もの候補者が立候補していることから解るように、大きく世代交代の波がきているように感じます。政治は世の中の鏡と言われますが、世代交代、新時代の予感はさまざまな分野で起こっているようです。
 私は楽観主義なので、有史以来、日本は一度も悪い方向に進んだことはないと思っています。その根拠は、ずっと日本人の寿命は伸び続けているからです。生きている人間の幸福度、心根はその時代時代で違うでしょうから良し悪しは簡単に言えませんが、人間の命が簡単に奪われない世の中の実現。このことが成し遂げられているだけで、国家の役割は十分果たされていると思います。その点、今後の世の中にあまり不安は感じていないのですが、世界の情勢を眺めると不安定感が増しており、若干心配です。今後、私たちが心がけていかねばならないテーマは、心の成熟ではないでしょうか。体の仕組みについては、現代科学がますます明らかにしていくでしょう。しかし、幸福度、精神的な成熟については、医学は非力です。科学者は、心の仕組みまで科学で明らかにしようとしてさまざまな病名をつけ、薬物でコントロールしようとしてきました。しかし、その薬物療法が進んでいる日本はG7(先進国)で最も自殺者の多い国です。いかに、医学が進んでも解決できない問題はあります。幸い、日本は世界で最も長く考える時間を与えられた国です。その時間の有効活用として、肉体の変化、心の安寧についてじっくりと取り組むのはいかがでしょうか。そのためには、少なくとも体の調子を維持することは大切です。
 以前にも、何度か書きましたが健康は、自然に叶えられるものではありません。健康長寿には、①ビタミン、ミネラルなどの栄養バランス、②痛みなどの炎症のないこと、③血流がいいこと、が大切です。

 改めて、健康に感謝する日々です。
 安らかにお眠りください。合掌。

2024.08.09

自然療法とは

自然療法医

先日、AANP (American Association of Naturopathic Physicians)という学会に参加してきました。
これは、自然療法医学(Naturopathic Medicine)という医療で、アメリカでは半分くらいの州で医療行為として認められており、専門の医学校を卒業した自然療法医(ND)により行われています。日本では、ほとんど知られていない自然療法ですが、ドイツ、スイス、オーストラリアでは一部公的、民間保険でカバーされています。アメリカでは、医療費が高額なこともあり、費用対効果の面で、自然療法を選ぶ面もあるようです。
自然療法は、自然に存在する物質や方法を用いて健康を維持し、病気を治療するアプローチです。これには、ハーブ療法、アロマテラピー、栄養療法、ホメオパシー、鍼灸、マッサージ、ヨガ、瞑想などが含まれます。

自然療法の主な特徴
自然の治癒力を活かす: 自然療法は、体の自己治癒力を引き出すことを重視します。薬や手術に頼るのではなく、体が自ら治る力をサポートします。
全体的なアプローチ: 自然療法は、身体だけでなく、心や精神、環境も含めた全体的なアプローチを取ります。
予防重視: 病気を未然に防ぐための予防策に重点を置きます。健康的な生活習慣や食事が推奨されます。
自然由来の治療法: 化学物質や合成薬品を避け、ハーブや自然由来の成分を使用します。
主な自然療法の種類
ハーブ療法: 植物を使った治療法。特定のハーブが特定の病気や症状に効果があるとされます。
アロマテラピー: エッセンシャルオイルを使ってリラクゼーションや治療を行います。
栄養療法: 食事や栄養補助食品を通じて健康を維持・改善します。
ホメオパシー: 微量の物質を使用して体の自然治癒力を刺激します。
鍼灸: 針や灸を使用して体のエネルギーの流れを整えます。
マッサージ: 筋肉や組織に働きかけることでリラクゼーションや治療効果を得ます。
ヨガ: 身体のポーズや呼吸法、瞑想を通じて心身の健康を維持します。
瞑想: 心を落ち着かせ、ストレスを軽減し、心身のバランスを整えます。
自然療法は、補完的または代替的な医療として利用されることが多く、現代医学と組み合わせて使用することもあります。ただし、全ての自然療法が科学的に証明されているわけではないため、利用する際には専門家の指導を受けることが重要です。

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