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2022.11.25

訪問診療ブログ『終い支度』

『終い支度』
あるお友達からご連絡がありました
「金谷先生、こんばんは。
高齢の父に
数年前から近隣医で
訪問診療をしていただいております。
最近、とうとう院長先生から
終末期医療について話がありました。
覚悟していましたが、
実際に聞くと、
やはりショックが大きいです。
トイレに行けなくなったので、
3週間前から紙パンツを始めた途端に、
眠ることが増えました。
会話も少なくなり、
いつ逝ってもおかしくないと
言われています。
それまで元気にしていたのに。
急に悪くなるのですね。」
—————————-
「お父様、
ご迷惑をおかけしまいと、
ご自身の終い支度を始めたのですね。
急に具合が悪くなったのではなく、
ご自身で、
しっかりと生きたご確認をされ、
お身体がご卒業に向けて
整い始めたのだと思います。
それは具合が悪いのではなく、
病気でもなく
自然な老いで、
自然な衰弱です。
芽が出て
花が咲き
自然に枯れて
土に還るように
それは
とても自然な
大往生に向けてのお支度です。
お父様、とてもご立派な方ですね。
潔い、
終い支度のあっぱれなお姿を
遠く北からご尊敬申し上げます。
お父様のご卒業を
お心鎮かにお見送りできますよう
願っております。」
—————————-
「そうなのですね。
急に具合が悪くなったわけでは
ないのですね。
家族にも、
先生のお言葉を伝え、
卒業を心静かに見守りたいです。
ありがとうございます。」
写真の説明はありません。
2022.10.26

訪問診療ブログ『魔法の胃の管』

『魔法の胃の管』
まだ若いお母様に
急に重篤な癌の告知が下されました
病院に行った時には
治療はもはや不可能な段階でした
胃に溜まる消化液も
腸に流れずに嘔吐してしまいます
排液の為の胃管が
鼻腔から入り留置されました
飲むことも
食べることも
もうできません
病院で過ごすことが辛く
ご自宅で最期まで
ご家族と過ごすことを決めました
少しだけの点滴を
毎日続けました
欠かさず飲んでいた
大好きなコーヒー
先生?
やっぱり無理ですよね
飲めませんよね
飲みましょう
ステキな胃の管が入ってますから
飲んで直ぐに
そこから抜きましょう
お母様は美味しそうに
淹れたてのコーヒーを
味わい
ゆっくりと飲み込み
娘さまが横で
専用の大きな注射器で
管から吸い上げて破棄しました
喉越しで充分に満足されました
嘔吐も何も起きませんでした
毎日たくさん口にされました
アイスクリーム
お茶
スープ
甘い飲みもの
少しのお酒
2か月ほど毎日
飲食を楽しみ
ドライブも何度も叶えて
大きな苦しみも
痛みも無く
静かに
そっと日常の中で
旅立ちました
違和感や苦痛の印象が強い
胃管留置ですが
この方には
飲食できないはずの終末期を
お迎えの日まで
楽しむことを叶えてくれた
大切な魔法の管でした
2022.09.27

訪問診療ブログ『明日、死がやってきたら』

『明日、死がやってきたら』
誰もが今日を生きている
でもいつかは来る終わりの日
今生の終わり
次の始まり
その手前
でも今触れている
柔らかい手とはお別れ
優しい声とはお別れ
しばしのお別れ
今触れている大切な誰かとの
時間は実はわずかなのに
皆、
今日のバタバタに
今日のスケジュールに
つい
あとまわし
でも、それも
仕方ない
頑張ってる生き様
生き方
———————————–
ご無沙汰していました
なんとなく世の中が錯綜していて
自分の言葉も
良い形で届かないのでは、と
日々の積み重ねをまとめることに
躊躇がありました
加えて体調を崩し
走りっぱなしの在宅医療も
初めて数日お休みしていました
幸い患者さんたちは
落ち着いてくれていました
電話やコミュニケーションアプリでの
やりとりはずっとありましたが
それは私の安心でもありました
(スマホ、感謝…)
体調が悪いピークの時には
患者さんたちに想いを馳せました
こんなに辛いんだなぁ
私たち医療者の役割は
なんだろう
社会や生活を変えたいなんて
そんなことは思わない
自分にたいそうなことが
できるとも思わない
私の代わりはいくらでもいる
ただ、
病気や障害とともに
生活する時の、その工夫
死を目前にした時の
少しでも楽になるのではないかと
思われる工夫
そんなことを
誰かが目にしてくれたなら
と、
在宅医療を始めてから
機会があればお伝えしてきた
それでもそんなことは
私では無くても
誰でもしている
私は医療者として
かけがえのない存在じゃない
私は、私としては
ただ1人
履き違えないようにしたい
私として
今までの生きて来た道が
走馬灯のように照らされる
他国籍に生まれ育ち
色々な思いも知りました
寄り道や道外しも有り
人様に迷惑もかけました
逆風の中の全力疾走だったり
酔っ払って千鳥足だったり
それでも生きて来たなあ
さて、これから先の残る時間
自分はどう生きようか
そんなことを考える
束の間の療養時間でした
今は元気です
通常スタイルに戻って仕事しています
ただ、
そんなことを考える時間は
大切だったなぁ
※写真はクリニックの有るビルを左手奥に望む南大通の夕暮れ
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