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2019.12.27

訪問診療ブログ『休日、先人たちの語りから』

金谷 潤子
12月25日

今日は朝早くのお看取りから始まり、転倒した方と発熱の方の往診にそれぞれ行って来ました。

高齢者住宅で採血と点滴をしていると、
後方で他の入居者の方が数人だろうか、
天皇陛下の昨日会見で話されたことを語っておられる。

私は黙々と作業をしながら耳を傾けていると、
震災のことや沖縄のこと、
戦争の無かった平成の30年のことなど、
陛下のお言葉を受けながら
しっかりとご自分の意見を述べられていた。

その言葉には重みがあり
陛下を敬う気持ちも滲み出ておられ、
思わず目が熱くなった。

もしかするとご家族や周囲からは、
忘れん坊さんでお一人暮らしはとても無理…と判断されてご入居されている方々なのでしょうが、
聞こえてくる言葉からは
私や私の知る誰よりも
この国への確かな思いが感じられた。

長く生きてきたということは、
それだけで尊い私たちの先人である。

何かができないから
心配だから、
食べさせて、
風呂入れて、
お世話するために
介護保険の点数◯点使って、
外に出ないように鍵かけて、
9時前には布団に入れて寝せて。

そんな「管理」の気持ちで
高齢者中心の日本に未来が有るとでも思うのか。
何より自分たちが管理されて仕方なく生きていきたいか?

海外では老いや死が迫ったときに頼るものは半数以上の人が「宗教」だそうだ。
ところが日本は頼るものの半数以上が「お金」と集計結果が出ている。

日本は死や老いの前には、
無力で特殊で寂しい国である。

お金では残念ながら何も解決しない。
高額な高齢者住宅が素晴らしいと思ったことが無い。
安くても高くても、
働いている方々が入居者と共に生き、
入居者を人として尊敬する気持ちがあるところは良い住宅だけれど、驚くほど僅かだ。

高齢者の話をすると人ごとだと思ってスルーする。
自分にはまだまだ関係の無い話と考える。

でも、人生なんてあっという間です。
良い人間関係を築き、高齢者に敬意を表する。
病気扱いしない。

認知症と括られて、何か良いことがありますか?

ファイターズが負けたら必ず怒る人を病院に連れて行きますか?
お腹が空いたらイライラする人を精神科に連れて行きますか?
どのくらい忘れん坊になったら認知症と呼びたいですか?

加齢は病気ですか?

子供の幻覚はファンタジーと称賛され
高齢者の幻覚には薬が出される。

認知症と括られている方々の
お料理や技術、その工夫と知識…
私の知らないこと、できないことだらけ。

まだまだできることを全て取り上げて箱に入れる。
誰の安心のため?
自分の?
社会の?

高齢者のイライラや悲しみにも全て理由があるのです。

※せっかくのクリスマスに辛口投稿申し訳ありません。

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