ブログ

2019.11.15

訪問診療ブログ『ソーシャルワーキング、そこに愛はあるんか?』

金谷 潤子
11月13日

私は在宅医療業界に入る前、
病棟時代からコツコツ自分で患者さんの為のソーシャルワーキングを自分なりに工夫していました。

医療は、悪い部分だけを取り出して新しい部品と交換するという単純な作業ではありません。

特に在宅医療では、時には心身の不都合の解決ではなく、
患者さんが望む生活をする為に、どのような工夫が必要かを考える医療内容を含むサポートが求められます。

それはパズルの様に、
適切な場所に、正しいコマを当てはめることではない。 

そこに愛があるかどうか。

何を馬鹿げたことを言っているんだ?
と、思われるかもしれませんが、
「美学」とはバランスやスタイルではない。

人としての「美学」

人らしさ。
それは、真心でものを見つめること。

自分の医療に美学を持っています。
私の在宅医療はソーシャルワーキングを抜きには語れません。
ソーシャルワーカーさんの担う連携作業だけがソーシャルワーキングではありません。

誰でも考えることができる、
人の真心を形にするための設計図を作ること。
その設計図の工程表がすなわちソーシャルワーキングだと思っています。
行き当たりばったりでは人生の仕上げ部分を請け負うことなんてできるわけが無い。
検査をしたり、薬を出すことが在宅医療では無いのです。

生活に関わる全ての方々、
ご家族、ケアマネさん、デイサービスのスタッフ、ショートステイ先のスタッフ、訪問リハさん、訪問歯科さん、訪問看護さん、薬剤師さん、ヘルパーさん、福祉用具さん、お友達、ご近所さん、
病院との連携のみならず、それら全ての方々の素晴らしい技術やパワーや心がどのように組み合わされば良いか、そのタイミングはいつか?

その工夫の全てがソーシャルワーキングです。
時には介護保険や医療保険の枠を外して考える必要もあります。
高齢者も障害者も、
保険の枠で縛られて生きてはならないのです。

個人の自由意志が尊重され、
多くの方の真心が活かされ、
そして、その集結が新たな生きがいや幸せを生んでいくことを目指すこと。
それが、私の在宅医療の美学です。

※写真は患者さんのお部屋です。
ふと見ると棚に飾られたお人形達にオヤツが添えられていました。
隣のお仏壇のご主人の写真の前にもポテトチップが添えられていました。
こんな尊い優しさを大切にしたい。

一番上に戻る