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2019.11.11

エビデンスって信用できる?

エビデンスという言葉を最近よく聞きます。医療の世界ではEBM(Evidence Based Medicine)というのが全盛です。簡単にいうと、論文で裏打ちされた医療というやつです。その反対にあるのがNBM(Narrative Based Medicine)というもので、簡単に言えば体験談みたいなものです。
http://www.drnagao.com/apital_nagao/?p=4727
治療の信頼度でいうと今は圧倒的にEBMが全盛で、それ以外は信用できない「インチキ医療」だと声高に喧伝する医療者もいます。しかし、このEBM本当に信用できるんでしょうか。実は、多くのEBMの根拠と言われる論文は製薬会社に資金援助を受けて作成されているものなのです。このような研究にその会社にとって有利になるように手心が加えられていることが明らかになってきています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20190520-00126580/
日本で最大のスキャンダルは「ディオバン事件」で、高血圧治療薬を売るために多くの大学医学部を巻き込んで研究費の提供と引き換えに論文の捏造を行ったことを覚えている方も多いと思います。しかも、驚くべきことにこんな癒着が事件発覚後も、相変わらず大学教授を中心に金銭の提供は続けられており、最高でおよそ3000万円ほどが個人に支払われています。こんな経緯で作成されたエビデンスっていうものが信用になるのでしょうか。私が長らく務めた大学でも、似たようなことはいくつも見聞きしました。教授の一人は、「結果が出る前に、論文を書け」とまで言って、忠実な部下は出世のために言いつけを守って論文を作成していました。私は麻酔科ですが、お恥ずかしいことに、ギネスに載るくらいの捏造論文が明らかになったのは我が国の麻酔科医です。さらに、麻酔科学会ではそのような捏造論文に対して学会賞を与えるということまでしてしまいました。研究とは、仮説を立ててその結果について考察して結論を出すものです。結果は、必ずしも仮説に当てはまるものとは限りません。その場合には仮説が間違っていたことになり、なぜ違ったのかを考えることになります。これを、薬を売るために「効果がある」という結果を論文にするということが多く行われていることが今のEBMの現状です。よくよく考えて医師の話を聞く必要があります。EBMといっている治療法の多くはこんな経緯で出来上がっているものです。逆に、信用できるものは長きにわたって使用されてきた治療法です。もし、ひどい副作用があるならばとっくに消滅しているはずです。ハーブ、漢方薬などはその作用機序などは明らかでないものが多いですがいまだに有効な治療法として使われ続けています。ただ、医療目的で行う場合には医師の管理下に行う必要があります。

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