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2019.09.17

訪問診療ブログ『高野山探訪』

金谷潤子
9月15日

山道を標高800mまで登ると周囲をさらに高い山々に囲まれた巨大な平地が突然現れる。
そこは弔いのテーマパークと言っても過言ではなかった。

歴史上の有名な方々や各界の著名人、大きな会社に縁故のある方の墓石や慰霊碑、供養塔などが林立していた。

鬱蒼と茂る樹齢数百年の杉木立の杜の中に、
たくさんの墓碑がひっそりと苔生して並んでいる。

圧巻であった。

人生に一度は訪れるべきと強く感じた。

大昔からどれほど多くの人々が、
天に近い高野山に墓碑を建てることを憧れたことか。

そっと気付かれない様に誰かが積んだ石。
大切な方の供養にさぞかしここに卒塔婆や五輪塔を建てたかっただろう。
せめてここに弔いの為の何かを…という「しるし」を
あちこちで見つけた。

私は特に決めた宗教がある訳では無いが、誘われるがままお遍路を続けるうちに、
昨年看取った父の供養にも想いを馳せた。

そして旅立った患者さんたちのお一人お一人や、
先に行かれた大切な方々、
いたましい戦争で失われたいのち、
震災によって失われたいのち、
自分が生かされていること、
全ての、生きて死ぬることについて。

それらを思い返す度に
弘法大師さまの姿に導かれて
不思議と心静かになることを感じていた。

今回、レンタカーを借りるとナンバーが父の名前の数字表記だった。
高野山に一緒に来たかったんだね。

誰もが夢見た天空の聖地。
極楽の具現。
時空を超えてあらゆるいのちを弔い続ける弘法大師さまの姿がそこにある。

またいつか参ります。
この度は遍路結願のご報告をお受け下さい。

日々案じる方々の
いえ全ての方の道行きが
穏やかで安らかでありますように。

この願いもどうかお受け下さいませ。

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