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2021.07.26

訪問診療ブログ『最期まで生きる、そして愛』

『最期まで生きる、そして愛』
とても心配性の奥様が最期まで頑張れたのは、
訪問看護さんや訪問リハビリさんたちの丁寧な医療サポート、
ヘルパーさんの温かな生活サポート、
キャンナス眞鍋さんの、「最期まで生きること」へのサポートがあったからこそでした。
目を閉じて長いこと休まれたままだったご主人様がちゃんとお別れの時には目を開けてご挨拶をされたことは胸が詰まります。
キャンナス眞鍋さんのご投稿を引用させていただきます。
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いのちを看る
小さな小さな呼吸で夜を超え、
最期まで穏やかな表情で 
早朝に旅立ちを決めた方とお付き合いしました。
酸素マスクの力を借りて、
全身で呼吸をする日を3週間ほど過ごされながら
この日を迎えました。
血圧は下がりながらも、
脈拍は弱く弱く触れました。
白々と夜が明ける中で、
乾燥した口を整えて、
あたたかいタオルでしっかりと洗顔と手を拭くと、頬が緩みました。
マスクを外した、
あまりの穏やかなご主人の表情を見て、
奥さんが言いました。 
「こんなにピカピカに、きれいにしてくれてありがとう。主人はもう充分頑張ったのですね。」
と確認され、うなづく私。
ご主人の額や頬を触り
「こんなにも最期まで頑張ってくれて、ありがとう。もうゆっくり、神様のところへ行ってもいいわよ。今まで本当にありがとう」
両手で頬をしっかりと支え、
唇に触れ何度も何度もお礼を伝えました。
ご主人はうっすらと目を開けて
見つめたあと数秒後再び閉眼され
静かな静かな呼吸で
お別れされました。
小康状態の中で 
いつか迎えるこの時間の不安と悲しみ、
そして緊張に潰されそうな心を聴きながら過ごしましたが、
その時間は感謝に溢れておだやかにやってきました。
主治医の先生が到着して
「最後の診察になります、ご主人はよく頑張りました。これは病気で亡くなったのではなく、大往生ですね」と。
そこに立ち会った皆が温かな時間を過ごしました
「家でよかったです・・ありがとう! 
やってあげたかったことができました!」
涙の無いさわやかな笑顔が心に沁みました
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