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2019.02.22

訪問診療ブログ『110歳に近いあなたと。』【過去編】

金谷 潤子
2018年11月30日

皆が大ファンになる◯◯さん。
お通じが順調だと、「決まりよく出てくれるねぇ」
◯◯さんの人生で悲しかったことは何?「戦争だねぇ」
ご飯は三食いつも残しません。
戦時中のひもじい経験があるから、お残しはできないのだそうです。
いつ食べられなくなるかわからないから、きちんと食べておかなくちゃ…とのこと。
心不全がありますが、訪問看護さんと連携プレーで利尿薬など微調整しながら何とか急性増悪は避けて生活できています。
独立型の施設ではご飯の提供とお風呂の手助けが提供されており、今日のランチはお弁当でした
月末はお弁当スタイルなのだそうです。
とっても美味しそう
とても小柄なのにこのお弁当も完食する◯◯さんです。
110年近くも生きているこの方の言葉のひとつひとつが学びでしか有りません。
高齢者をどうするとか、どこに預けるとか、認知症だからどうだとか、そんな事をどれだけ話し合っても何の解決にもなりはしない。
長く生きて来られた方の新たな生き甲斐や楽しみや役割について真剣に考えてみませんか?
私たちが歳をとったときに、そうしてもらいたいと思いませんか?
自分たちが年老いた時にどのように生きたいですか?
お金でなんて解決できないのですよ。
高額な高齢者住宅で、安心や幸せが手に入ると思っている方は大間違いです。
人間の良心、真心だけが未来を救える。
今の私たちの生き方、考え方、姿勢が問われているのです。

2019.02.19

訪問診療ブログ『最期まで自分で在ったこと』(続編)

2月13日投稿の『最期まで自分で在ったこと』には続きがあります。

続けてお読み頂けると幸いです。

金谷 潤子
2018年11月6日 

前回投稿の方のお迎えが参りました。
お昼過ぎに訪問看護さんに
「そろそろの様だから、少し楽になりたい。坐薬を少しだけ又使いたい。」
と話され、モルヒネ坐薬の数分の一量を使いました。
ご家族様に「もうお時間は僅かかと思います。お側にいらっしゃっても良いかと思います。」とご連絡差し上げ、数人のご家族様が駆けつけました。
旅立ちの少し前、血圧も触れなくなってから「最期のトイレに行くかな…」と話されました。
その体力は残されていませんでしたが、ガスが出ると満足されました。気力だけで意識を保っているそんな時になっても尚お手洗いに行こうという気構えにご本人の尊厳を感じます。
ご家族に見守られて数時間後、何度か苦しそうな呼吸となり静かに眠られました。
ご家族様にも説明致しましたが、
死前喘鳴(死の直前に呼吸が苦しそうになること)は自然な成り行きです。
おそらく赤ちゃんがこの世に生まれてくる際に、産道を通り抜ける苦しさと同じではないかと勝手に考えています。
違う世界に渡る際には、何か呼吸(エネルギー摂取)の大きな変化があるのでしょうか。
最期まで死としっかりと向かい合うことを選んだ、
とても潔い、
侍の様な旅立ちでした。
癌末期でお一人暮らしでの生活を、2カ月ほどの僅かな期間でしたがお力添えできたことに感謝です。
詳しくは話せませんが生きた証をしっかりと残されて行かれました。
モルヒネでぼんやりさんとなったご自分を「違う」と訴え、
私と訪問看護さんに「自分を取り戻したい」と願われ、
麻薬類の薬剤を中止しました。
クリアになってくる精神を静かに穏やかに噛み締めておられました。
かっこよかったです。
お見事な生き様、去り際でした。
合掌。

2019.02.15

訪問診療ブログ『高齢者住宅の孤独』(過去編)

金谷 潤子

2018.10.27

高齢者住宅に往診する事も多くありますが、楽しそうに生活されている方は残念ながら少数派かもしれません。
こぎれいな小さな空間にベッドとテレビ。
たいていテレビはついたままベッドに寝ています。
ベッドとテレビ以外の隙間は殆ど無いような狭いお部屋も。
「先生が帰って誰も居なくなったらズドーンと暗闇の底に落ちて行く気分だよ。」
「あの空に飛んで行きたいなぁと、いつもここから見ていて思うよ。」
目の奥が熱くなりました。
高齢者はここで、提供されるサービスに感謝しながら生活を楽しんでいるわけではありません。
管理されて我慢して生きながらえています。
楽しみはたまのご家族の来訪。
これでは誰でも忘れん坊さんになってしまいます。
私たちよりも、若者よりも、秘めている知識や技術、才能はたくさんあるでしょう。
車を運転して事故を起こしたり、徘徊したり、高齢者から何もかも取り上げて管理しなければ…と焦る行政。
しかし、実際のところは高齢者ではない方の飲酒運転事故の方が多いのでは?
かなりの忘れん坊さんのお一人暮らしも多く見ていますが、火の元不始末の話を聞きません。
だからといって野放しにと言っているのではありませんが、今多く見られる「管理」のやり口は、高齢者のできることを奪い、できない人間にしてしまう原因でしかないと感じるのです。

歳をとるのが楽しみになるような世界にするには?
皆が考えていかなくてはなりません。

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